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緑内障の最初の治療ってなに

[2023.07.24]

自分は母校である東海大学で毎週水曜午後に緑内障外来を行っております。

そのために水曜日は午前中だけの診療となっております。

 

緑内障患者さんをみるにあたって、

気を付けていることはいろいろありますが

今回は緑内障の最初の治療は何かついてお話します。

 

緑内障に対するエビデンス(科学的根拠)に基づいた唯一確実な治療法は眼圧下降(眼圧をさげる)となりますが、一般的には点眼治療が主に行われています。しかし患者さんによっては内服治療を併用したり、レーザー治療をしたり、それらをしてもコントロールがつかない場合は手術を選択します。通常の慢性的に進行する緑内障ではいきなり手術をすることは普通はしません。(病型によっては白内障手術をしたり、白内障手術を併用した緑内障手術をすることは例外的にあります。)

 

では慢性的に進行する普通の緑内障に行う最初の治療は点眼治療かというと、自分は違います。緑内障と診断してもその日に眼圧を下げる点眼薬を処方しません。それでは何をするかというと、まずはデータ収集のために経過観察をしばらくします。

 

緑内障の治療は眼圧を1でも2でもいいから下げないといけませんが、この眼圧は日内変動があります。一般的には朝型が高いと言われていますが、いろいろな要素で変動します。なので1回だけ測定してあなたの治療前に眼圧は●●ですというのは難しいです。眼圧は複数回測定し、平均値をもって無治療時の治療前の眼圧として、そこからどのくらい下げればよいか考えます。

 

どのくらい下げればよいか考えるために、視野検査のデータが必要ですが、視野検査は1回目はたいていはうまくできません。視野検査は『視界のどこかに光ったと思われるものがあったらボタンを押して下さい』という検査です。感度を測定するのではっきりとわかる光だったり、微妙なものだったり、また割と次々を光がでてくるので、考える時間はあまりなく、ある意味反射神経をためすようなゲームみたいなものですが、マリオのゲームが最初からいきなりクリアできないのと同じで、最初の視野検査は微妙に光ったものを正確には感知してボタンを押すことは難しいです。なので1回目の検査は練習みたいなもので、1~2か月以内に視野検査を再度検査します。2回目の検査の方が学習効果があり、より正確にできるようになりますので、2回目の視野の程度を現状の視野と判断することとなります。

この無治療時のデータ収集が、以降何十年と長期間続く緑内障治療には大事となります。

 

以上より、緑内障の最初の治療はデータ収集であり、具体的には無治療時平均眼圧(ベースライン眼圧)、2回目の視野(ベースライン視野)の確認をするために、緑内障の診断をしても3~6か月は経過観察をするようにしています。

 

健康診断で緑内障(疑い)を指摘された、親・兄弟が緑内障なので自分も緑内障か心配など、緑内障かどうかの診断について何かありましたらご相談してください

 

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