新しいドライアイ治療 ~IPL治療について~
IPL(Intense Pulsed Light)は、身体を温め炎症を取り除くために使用されている医療用の光治療機器です。最近の研究ではドライアイの症状を訴える患者様の多くはマイボーム線機能不全(MGD)であることが明らかになりました。このマイボーム腺機能不全を改善する新たな治療法として、IPL(Intense Pulse Light)治療が登場し、海外の学会等でその効果が次々と報告され、注目を集めています。
2021年には米国食品医薬品局(FDA)がルミナス社製M22を「マイボーム機能不全を伴うドライアイ」のIPL治療器として承認しました。また『MGDを伴うドライアイに対する治療』を目的とした治療器として日本でも薬事承認を受けましたので、当院でもこの機器を導入しました。
ドライアイのすべての方に治療する訳ではなく、ドライアイの中でもマイボーム腺機能不全に伴うものが治療適応となります。マイボーム腺機能不全があるかどうかは診察して判断します。また、今までドライアイで点眼治療していたが症状がなかなか改善しない方、涙点プラグを入れたが症状が改善しない方、点眼治療が困難な方、コンタクトレンズ装用者で乾燥感がひどい方などはIPL治療をお勧めします。
★IPL治療のマイボーム腺機能不全(MGD)に対する作用機序
IPLはその名の通り特殊な light(光)をあて、組織を温めることで、マイボーム腺の詰まりを解消し、炎症を改善、涙の油層を正常化しドライアイを改善することができます。
具体的な作用機序は下記の通りです。
- 異常血管の凝固による血管病変改善
- マイボーム腺のうっ滞改善
- 抗炎症作用
- 細菌叢やデモデックス(顔ダニ)減少による感染抑制
- コラーゲン再構築
上記のようにただ単に温めるだけでなく、炎症を抑え、細菌やダニの繁殖を抑え、さらに組織まで再構築する素晴らしい機器です。
★IPL治療により様々な自覚症状の改善が期待できます
・目が疲れやすい ・目がショボショボ、ゴロゴロする
・目が重たいと感じることが多い ・目が乾いた感じがする
・なんとなく目に不快感がある ・ものがかすんで見える
・光がまぶしく感じやすい ・涙が多い
・目が痛む ・目が赤くなりやすい
・白っぽい目やにがでる
*NIBUT(非侵襲涙液破壊時間):眼をあけてから眼表面の涙液層が破壊するまでの時間(秒)。涙液の質の評価に用いられます(正常:10秒以上、異常:5秒以下)。
★IPL治療不適応の方もいます
・授乳中の方や妊娠中の方 ・光過敏症、光過敏性を高める薬剤をご使用中の方
・皮膚が日焼けしている方 ・てんかん発作の既往歴がある方
・ケロイド体質の方 ・照射部位にタトゥーのある方(アートメイクを含む)
★IPL治療の手順
カウンセリング(受診日)
● IPL治療が適しているか、診察・検査で確認します。
● 適応がある場合、治療について詳しくご説明します。
● 患者様に同意を頂けた場合、治療の予約をお取りします。
治療の準備(治療日までに)
● 事前に眼周辺の剃毛をお願いすることがあります。
● 来院後、メイクや基礎化粧品を全て落として頂きます。
IPL照射(治療当日)
● 眼周辺にほくろがあれば、パッチシールでカバーします。
● 眼球を守る専用のアイマスクをつけ、顔に密着させます。
● 照射部位(下まぶた下部)に専用のジェルを塗ります。
● ほほ→まぶたの下→鼻へかけてIPLを照射します。
● ジェルを拭き取り、眼周辺を洗浄して治療終了です。
※ダウンタイム(施術後の制限)は基本的にありません
※症状によりますが、3〜4週間おきに3〜4回実施すると効果が実感でき、再発することも少なくなります
★ドライアイIPL治療後のご注意
- 治療後は肌に赤みを生じやすくなりますが、2~3時間で落ち着くことが多いです。
- 照射の刺激として、皮膚の弱い方は、ごくまれに赤みやヒリヒリ感がでる場合がありますが、安全性には問題ありません。一過性のものですのでご安心ください。
- 治療後約2週間は紫外線に当たるときは照射部位に日焼け止めクリームを塗ることをお勧めします。
- 洗顔、メイク、入浴等は通常通り行って頂いて問題ありません。
★費用について
自費診療となります。1回につき1万円(税込み)となります。
興味がある方はスタッフまで問い合わせください。