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白内障

 

 

 

 

 

 

白内障は一言で言うと

『水晶体がにごる病気』です。 

目の中にある水晶体(カメラでいうとレンズの役割をしています)はもともとは透明ですが、黄白色や茶褐色ににごるとによって、視力が低下したり、物がかすんだり、ぼやけて見えたりします。

白内障の原因は多くあり

①糖尿病やアトピー性皮膚炎など全身の病気に伴うもの

②眼内の炎症によるもの

③外傷に伴うもの

④放射線や紫外線によるもの

などがあります。

一番多いのは特別な原因がない加齢に伴う変化で、早いと30~40歳で始まり、70歳になるとまず100%の人が多かれ少なかれ白内障を認めます。

 

 

~初期から中期の症状~

白内障初期の症状は

『メガネやコンタクトレンズが合わない』

『運転がしにくくなってきた』

『夕方になると見えにくくなってきた』

『暗いところで見えにくくなってきた』

 などから始まり、

『まぶしい』や『ものが二重に見える』

 などの症状も加わります。

 

白内障が進行して中期になると

『かすんで見える』

『霧がかかる』

『膜がはっている感じ』などを自覚し、

 眼鏡店に眼鏡を作りに行った際に

『眼鏡の度数を上げても視力がでない』

 と言われるようになります。

免許更新の際に視力がでないので更新できないケースも出てきます。

 

 

~白内障のタイプや進行具合によって症状が異なる~

白内障の症状はタイプによって様々です。

皮質混濁が強いタイプは矯正視力は出ても、かすむ症状が強かったりします。

核白内障が強いタイプは矯正視力は出なくても、今まで老眼鏡をかけないと近くが見えなかったのが、眼鏡で見えるようになったりと逆に本人的には良いこともあります。

また右眼と左眼と同じように白内障がゆっくりと進行すると、その変化を普通と認識してしまって、かすむなどの自覚症状が感じられない人もいます。そのような方は本当に見えなくなってから来院され、白内障の程度も強いことから手術が難しくなってしまうことがありますので注意が必要です。

        

 

~白内障の末期症状~

白内障は進行しすぎると見た目で黒目の部分が白色になってしまうことがあります。もちろん視力も全然出なくなります。世界的にみて途中失明の1位は白内障ですので、白内障は放置すると失明する病気といえます。しかし現在の日本において白内障で失明する人はほとんどいません。なぜなら日本においては年間130-170万人の方が白内障手術を受けているデータが示すとおり、白内障手術を受けられる環境があるからです。しかし、白内障手術を末期になるまで受けないと、手術時間が長くかかったり、以前に行っていた切開幅が大きい手術になったり、水晶体の代わりに入れる眼内レンズが入らなかったりと通常とは異なる結果になることもあるので、視力低下を自覚したら早めに眼科を受診してください。

 

 

 

白内障の治療・効果について

白内障の治療はサプリメントを含めた内服治療や点眼治療などありますが、根本的な治療は手術です。

白内障手術の効果はもちろん見えるようになることですが、他にもいろいろな効果があります。

一つは精神的な効果です。病は気からというように、見えない・見えにくいと気持ちが落ち込んで、ふさぎ込んで外出も控えるようになります。手術をやってよく見えるようになった患者さんの中には、今までよりも精神的に上向いて、意欲的になり、元気になることもあります。

二つ目は社会的な効果です。例えば①車のドライバーが、手術をしてよく見えるようになって、交通事故の可能性が減ったり、②もともと認知症気味だった方の認知症状が軽くなったり、③またかなり悪い人は食事や入浴・排せつなど日常生活においてご家族などの手がかかり負担となります(介護度が高い)が、手術をして一人でできることが増えた(介護度が低くなる)など、社会的な効果も認められます。

 

 

白内障の手術について

白内障の有無、程度を診断し、適応となれば当院では日帰りで手術をしております。偶発症・合併症の可能性が高い方、入院での手術が好ましい方は大学病院等にご紹介いたします。

白内障手術は簡単に言えば『水晶体を取って、代わりに眼内レンズをいれる』手術となります。

手術時間は10-15分程度ですが、『ゆっくり・落ち着いて・丁寧に』をモットーに、術後炎症が少なくまた術後の視機能を最大限発揮できるように低侵襲の手術を心掛けております。

 

 

~~眼内レンズについて~~

眼内レンズに関しては、当院では単焦点レンズをメインに使用しております。

単焦点レンズは焦点が一つですが、焦点が合っている距離はくっきり・はっきり良く見えます(解像度がよい)。欠点は焦点が合っている距離より離れていくにつれて、段々とぼやけてくることです。

多焦点レンズは焦点がいくつかある分、眼鏡なしで遠近両方ともにまずまず見えます。しかりその代わりに費用がだいぶかかりますし、コントラスト(はっきり・くっきり感)は単焦点よりは劣ります。また緑内障や加齢黄斑変性などの眼底の病気がある方はプレミアなレンズの効果を十分に発揮できないので、おすすめできません。

 

~~眼内レンズの度数について~~

眼内レンズの度数については、患者さんの術前の生活状況も考えたうえで、

①『術後にメガネなしで遠くがよく見たいか』・・・遠方合わせ

②『近くがよく見たいのか』・・・近方合わせ

③『中間距離がよく見たいのか』・・・中間合わせ

上記3パターンからご希望をお聞きし、決定します。

中間合わせは遠くも近くもまずまず見えて、現代社会の日常生活において大体使う距離としては頻度が高いので、自分はお勧めすることが多いです。

 

~~白内障手術の合併症について~~

白内障手術の成功率は一般的には99%と言われております。簡単に考えれば、ほぼほぼ問題ない手術となりますが、100%安全ではありません。

1%のリスクがあります。

白内障が進行しすぎると、リスクは1%ではなくなります。ここは注意してください。

早く手術をやりすぎるのもよくはありませんが、遅すぎてもよくはないです。

リスクの中で一番怖いのは感染症です。最悪失明します。なので、感染症の可能性を少なくするために、対策を立ててます。その一つになりますが、患者さんには術前・術後に点眼をしてもらいます。

また合併症によっては眼内レンズを入れずに終了する場合があり、その場合は追加の手術が必要になります。つまり複数回手術をして、やっと見える状態になることもあります。

その他に水晶体落下、眼内レンズ偏位、眼内レンズ脱臼、角膜内皮減少、術後黄斑浮腫、一過性の眼圧上昇、網膜剥離など合併症の報告があります。

 

 

白内障手術、その後について

白内障手術が無事終わっても、『はい、おしまい』、『もう来なくて良いです』とはなりません。

当院では手術後も手術同様に大事と考えてます。

手術後で一番大事なのは患者さんに行ってもらう点眼です。白内障術後合併症で最も怖い感染症にならないために重要ですが、最初の1か月は3種類で、1日トータルで10回点眼してもらいます。2か月目は2種類となり、3か月目は1種類となります。これが結構手間で、患者さんからも『白内障手術は簡単ってきいていたけどな~』とよく愚痴言われます。

また問題ないか確認し、何かあった場合は早期に対処することも大事ですので、術後それなりに通院してもらいます。翌日、3日後、1週間後、2週間後みたいな感じで徐々に間隔を伸ばしますが、気になることがあれば、連日来てもらうこともあります。つまり術後の通院も結構大変です。

さらに手術してから少しの間お風呂に入れないとか、自宅で安静にしてもらうとか、生活に制限を設けております。

以上のように 手術後も結構手間暇かかりますが、これらの事が自分で一人でできないとなると、ご家族などサポートをしてもらえる方が必要となります。なので、自分で一人でできるうちに手術を受けておくという事も大事です。

 

まとめ

白内障のことについて、かなり詳しくお話ししました。手術は15分程度で、『白内障手術は簡単だ』と聞いて受ける方が多いですが、そうではないと感じていただけたと思います。

当院では手術だけでなく手術後も大事と考え、その理解をしていただくために、コミュニケーションをよくとるようにしております。よく話すと逆に怖くなり手術をやめる方もいらっしゃいますが、説明義務を十分果たし、ご理解・ご納得をして頂いて手術をうけていただきたいと思います。

白内障手術を受ける時期は人それぞれタイミングがありますが、自分で判断するのは難しいです。何か症状があれば受診し、相談することが大事です。また何もなくても70歳以上の方は年に1回は最低でも眼科検診をするようにしてください。

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